探していたフレーズ

ミヤタです。

先日の日記に書きましたが最近吉本ばななを読み返しています。
夏が好きなひとらしく夏の描写がすごくいいんです。
最近、電車で移動するときには必ず持ち歩いています。

吉本ばななを読みはじめたころ、本当に美しいと思ったフレーズがありました。
これは、冬の月と星と空について書かれたフレーズで、ついそこだけ何度も読み直してしまいました。
そこだけ読んで、すこし目を閉じてまた読む、ということを大げさではなく何度もしていた記憶があります。

どの本だったかなと思って探した時期もありましたが見つからず断念していました。
短いストーリーのなかに、心情、情景の美しい描写がぎゅっと詰まった
『キッチン』の一節だと思い込んでいて何度も読み返したのですがそのフレーズは見つからず。
ほとんどおぼえていたのですが後半の一部がわからなくてとても残念に思っていました。

最近、偶然にも再会することができました。
『デッドエンドの思い出』という本でした。
以前ともだちに借りて読んで、いいなと思っていた短編集。
文庫になったのは知っていたけど、一度読んだしなあと思って買うのを控えていました。
でもこの夏は本当に吉本ばななを読みたくて、先日買ってしまいました。

そうしたら、そのフレーズを偶然見つけました。
なんの予感もなく読みすすめていったらぽっかりと。

見つけたとき、うれしさでじんとしました。
そこだけ読んで、すこし目を閉じてまた読んでみたら、さらにじんとしました。

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『デッドエンドの思い出』(文春文庫) より
p.22 11-12行目

星がきれいな夜で、氷のように月がとがっていた。空から切り抜かれたように白く見えた。

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生きるということに関して力をもらえる短編ばかりです。
よければ読んでみてください。ぜひぜひ。